【裁判関係本のレビュー-17】本人訴訟ハンドブック―知識ゼロからの裁判所活用術 矢野 輝雄

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    JUGEMテーマ:電子書籍出版


    ★★☆☆☆ 2点

    レビュータイトル:素人向けによく整理されているがこれでは勝てない 2016年10月9日

    本人訴訟の原告です。
    来月、控訴審の判決が出るところまで来ました。
    三年半かかりました。そういう時期に読んでみました。

    まず、この方は弁護士ではなくNHK文化センターの講師だった人です。
    ですから、非常によく整理された内容の本を書ける人です。
    既存の「誰でも手にすることができる公開されている資料」を元に、分かりやすい解説書
    (テキスト)を書いています。しかし、裁判を実際にたくさん経験した人、ではないのです。
    そこが最大の弱点。分かりにくい手続きを皆さんに分かりやすく説明してあげよう、という
    善意はよく分かります。しかし実際はそれだけでは勝てません。「裁判の本質」というものが
    この方には経験がないために分かっていないのです。(三年半の裁判を一回経験しただけの私でもそれは分かる)
    それはどういうことかというと、例えば「はじめに」に、いきなりこう書いてあります。

    「古来、裁判の仕組みは、当事者は事実を語り、裁判官が法律を適用するものなのです」

    これは大間違いです!声を大にして言います。信じてはいけない。
    この方はラテン語の格言「汝は事実を語れ、我は法を語らん。」を信じているのです。
    弁護士でもこの格言を信じているような人もいます。しかし実際の裁判はまったくそうではない。
    裁判官はただの「審判」です。自分の裁量で、当事者の主張していない事を判決に書くことは許されていません。
    例えば、原告が「この損害は30万円である」と主張しているのに裁判官が「いやいや、それは法に照らすと安すぎるから
    損害は3000万円と認める」などとは言ってはいけないことになっている。だから「事実」を語れば「適当な法律を当てはめて
    素晴らしい妥当な判決をしてくれる」のではないのです。「主張しないことは判決にかかれない、書いてはいけない」のです。

    だから、弁護士の必要性が出てくるのです。弁護士は「そういう事実があるなら、「人格権を侵害された」と主張しよう」
    「人格権の侵害の賠償額は判例を見るとあなたなら3000万円が相場です」などとアドバイスするのです。素人には
    そんなこと思いつきません。「これが人格権の侵害に該当する」などと、法律の知識なくして思いつくわけがないのです。
    思いつかなければ、当然ですが「主張」もするはずがありません。訴状にそんなことは書かない。書いてなければ
    裁判官は「被告は3000万円払え」などとは絶対に言わない。

    そういう実際の修羅場を経験していない人には、そんなことは本に書けないのです。
    この本はそこがまったく書かれていません。素人向けによく整理されているがこれでは勝てない。
    学生が裁判の流れを整理して理解するには良い本ですが、裁判に勝つヒントは書いてありません。

    この本のアマゾンのリンク



    被告の似顔絵
    澤村翔子

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