【裁判関係本のレビュー-7】民事訴訟の基本原理と要件事実 単行本 - 2011/1/1 田中 豊 (著)

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    ★★★★★ 5点

    レビュータイトル:法律の専門家を想定読者とした高度な専門書 2015年7月23日

    本人訴訟の原告です。
    田中豊氏の本は「法律文書作成の基本」「事実認定の考え方と実務」と
    本書の三冊を読みました。この本はその中でも最も専門家向けの高度な内容です。出てくる
    事例がすべて最高裁の判例。即ち、最高裁まで争われた、非常に困難な事案についての解説です。
    これは、新民事訴訟法(平成10年1月1日施行)で、旧民事訴訟法のもとで行われていた実務上の
    工夫を条文化したけれども、「筆者の裁判官または弁護士としての経験の中で、どのように
    (職務を)遂行すべきなのか明確でない場面にしばしば遭遇してきた。そのような不明確さの
    原因は、民事訴訟の基本原理が実際の訴訟の手続きにおいてどのような意味を有していて
    どのような効果を導くことになるのかが、当該事件で問題とされている実体法上の争点との
    かかわりにおいて正確に把握されていないところにあると感ずることが少なからずあった」
    (はしがきから抜粋)

    そのような「根拠法規と訴訟実務とのギャップ」は、訴訟素人の私もよく体験するところ
    であるけれども、本書はその中でも「(訴訟という手続きを)一生に一度利用するかどうか
    というものが理解することができるというわけにいかないにしても、(専門家が)そのような
    活動の規範をあらかじめ理解することができないというのでは困ります」として書かれた本
    ということなのです。(はしがきから抜粋)

    ですから内容は非常に高度です。釈明権(第4章)などの解説は非常に分かりやすく書かれており、
    専門家でも誤解しているという実態が伺えます。しかし、釈明権の意味の解説が目的ではなく、
    釈明権の行使をめぐる「問題点」の例示を「判例」を参照しながら最高裁の判決を検討する
    という内容なのです。これは本人訴訟の初心者がその訴訟活動の実行のために必要とする
    情報のレベルをはるかに超えています。専門家が読む頂点に属する書物と考えてよいでしょう。
    専門家を対象にした、「訴訟」というものの実態を非常に先鋭的に描き出したドキュメンタリー
    として読める、とても読み応えのある一冊です。同時に、日本の訴訟というのは「明文化されていない」
    実務上の工夫や先例(裁判例、判例)や慣習によって運営されているものなのだな、ということも
    よく理解できます。例えば「弁論主義」を説明する時に必ず言われる「裁判所は当事者の主張しない
    事実を判決の基礎としてはならない」という規律は、実はどこにも明文規定が無いそうです。(95頁)
    この国の民事訴訟手続きには明文規定のないものがたくさんあることを痛感します。それでいいのか?
    という疑問が募ります。

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