【裁判関係本のレビュー-3】弁護士が勝つために考えていること (星海社新書) 新書 – 木山 泰嗣 (著)

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    JUGEMテーマ:電子書籍出版



    ★★★★☆ 4点

    総評:『本人訴訟』をまったく応援しない姿勢で書かれた本

    本人訴訟の原告です。相手は弁護士を代理人にしているのでこの本を読んでみました。
    「弁護士は何を考えて裁判に臨んでいるのか」
    それはこちらの作戦を立てるのに役に立つことだからです。
    敵を知り己を知れば百戦危うからず。

    30分で読める内容です。著者のスタンスは明快で
    「弁護士は素人にできないこんな事をしている」
    「だから本人訴訟でプロに勝てるわけがない」
    「この本を読んだら弁護士に任せる気になるでしょう」

    要するに宣伝ですね。実際、こう書いています。
    「民事訴訟で勝つためには、弁護士に任せる。これ以外に民事訴訟での勝訴可能性を高める戦い方は存在しません」31ページ。
    他の多くの弁護士本と同様、自分たちの仕事はよっぽど難しいことをしているから
    シロウトさんに勝てるわけありません、という事です。

    そんなことはまったくありません。ここに書かれていることは
    有能なビジネスマンなら誰でも同様にやっている当たり前のことです。
    ただ場所が法廷であるだけの違いです。ただし、裁判官がシロウトの提起した訴えに辟易して「プロに相談しなさい」と言いたくなるような訴訟人(原告)がたくさん存在するという事情は想像できます。そういう人たちには「弁護士に相談しなさい」とも言いたくなるでしょう。迅速な裁判の妨げになるばかりですから。

    この著者は1974年生まれだから今年(2015年)41歳ですね。41歳のビジネスマンの考えていることと大した差異はありません。つまりもっと経験のあるビジネスマンならこの若さの弁護士の言うことは異なる分野の未知の知識として興味を持って聞くけれども劇的に示唆を受けるような事は書かれていない、ということです。自分の部下が自分より見識を持っていることなどあまり期待できるものではありません。それと同じです。

    どういうことかというと、たとえば「裁判はゲームだ」という著者の説明は分かりやすい。経験してみると実感することです。決して「真実の探求」の場ではない。術策に長けていれば黒も白にできるのです。訴訟相手の弁護士の言動を見てもその事を実感します。弁護士というのは決して「正義の実現」の為に働いているのではない。依頼人を勝たせるためにゲームをしているのです。弁護士であるこの著者本人がそう言っているんだから納得できます。納得できるが、今後の自分の生き方に大きな影響を受けるか、と言えばそういう内容の本ではない。裁判には戦略が必要と著者は書いているがそんなことはどんな仕事でも同じ。「ゴールを考えるところから訴訟は始まる」と著者は書いているがそんなことはどんな仕事でも同じです。よっぽど著者の周り(つまり依頼人)には、そういう事が分かっていない人間が多いのだろう。

    また、明晰で論理的な文章が書けるのが弁護士だという主張もしているが、そんなものは別に弁護士の専売特許ではない。この著者の周りには(つまり依頼人たち)自分ではそういう文章が書けない人間ばかりなのだろう。裁判の素人でも論理的で明晰な準備書面を書く事は、普段からビジネスで書類を書いている人間には別に難しいことではない。ただ異なる世界の作法を学べば良いだけの事である。(この本にはそういう事は一切書かれていないが田中 豊著「法律文書作成の基本」を読めば書けるようになります)

    全般に、弁護士の友人がいれば茶飲み話で気軽に聞けるような内容で「訴訟に勝つために弁護士がどういうことを考えているか」を知るために読むのであれば星五つをつけても良いが、「民事訴訟に勝つための答えは弁護士に任せること」(29ページ)という『本人訴訟』をまったく応援しない姿勢(それは自分の仕事を減らすことにも繋がるので当然だろうが)にはまったく賛同できないので星をひとつ減らします。

    私は間も無く判決が出るところまで来ましたが本人訴訟でプロの弁護士に完全勝利する事例を見せてあげたいと思っています。

    この本のアマゾンのリンク




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      • 2018.07.17 Tuesday
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