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    「ダブルライフ」編集中につき別原稿「映画レビュー集」掲載します-2

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    • epub
      2013-10-29 12:16:17

    JUGEMテーマ:電子書籍出版

    「ダブルライフ」の編集に時間がかかっているので
    次のプロジェクト「映画レビュー集」の原稿をもうひとつアップします。

    個人で書いた映画レビューが980本前後あるのですが、
    これを電子書籍の機能を利用してどのようにKindle本にするかを検討します。

    電子書籍はリンクを使えますので
    目次や用語集から直接そのページ(記事)にジャンプできます。
    逆に考えると、ひとつの記事に複数の方法でたどり着く事ができます。

    リンクで来たり検索で来たりするのはウエブでは当たり前のことですが
    本の世界では電子書籍で初めて可能な方法です。

    例をあげれば、製作年、監督名、俳優名などでその記事を見つける事ができます。
    それをやってみようと考えています。

    では、レビュー原稿をもうひとつアップします。
    ------------------------------------------

    このあと二人は普通はセックスする(普通はしない?俺ならするが)

    掲載日:2009/11/20
    レビュアー:bokensdorf
    『やわらかい手』 2007年製作



    キワモノではないか、と恐る恐る借りたが、真面目な作りの佳作だ。

    出てくる人間の顔が、ことごとく英国人の顔ではない。名前も男なのにミキ、ミッキーかと思ったが違う。同僚の女の子(ルイーザ)もどう見ても東欧系だ。【実はこの二人の役者はミキがユーゴスラビア人、ルイーザはハンガリー人だそうだ。そういう狙いで使ったのは間違いない】

    要するに、自国で食えなくて大都会ロンドンにやってきた外国人労働者ということなのだ。当然、【日本でも同じだが】よそ者扱い、差別もあるし子供は学校で友達もいない。雇ってくれる企業なんかひとつもない。食う為にはなんでもやる。家族を守る為にはえり好みなんかできないのである。

    主人公のマギーがやっている職業というのは、別に風俗である必要は無く、人に偏見の眼で見られる穢らわしい仕事のメタファだ。世に「穢れた仕事」というのは色々ある。差別の対象にもなっている。その暗喩に「手」を使っているのだろう。英語でhandは「職人」だ。そう考えると、私はこの映画はマギーがいかがわしい仕事をしているかどうかではなく、「どんな人間に対しても偏見の無い眼でその人を見る事ができるか」を観客に問うている映画なのだと思う。

    よく、「職業に貴賤はない」とか言うが、この映画ではそう思っていない人が出てくる。代表者は息子。母を侮辱する根拠は特にない。ただ、単純に「とんでもない」と思っているだけ。日本でも、娼婦は軽蔑される。私はこれが不思議。娼婦だって立派な職業ではないか。なぜ軽蔑するの。私は愛する人が娼婦だって構わない。私だけを愛してくれるなら。職業や国籍で軽蔑する理由は何なのだ? これがこの映画の問いかけである。

    マギーとミキが魅かれあう理由が判らないというレビューを読んだが、それは仕方が無い。この映画は字幕がメチャクチャだからである。二人が向き合って話しているとき、こう言う。

    マ「なぜあんな店をやることになったの?」
    ミ「儲けてやろうと」

    ここは英語ではこう言っているのである。
    マ「How come you ended up in a place like this?」
    ミ「I hated to be poor.」

    エンドアップ、というのは「やることになった」ではない。
    「なぜこんな場所に行き着いてしまったの?」である。
    答えはこうだ。
    ミ「貧乏から抜け出したかった」

    ここでマギーは「この人も外国人で、色んな苦労をして来たんだな」と理解する。
    二人の魂が触れ合う重要なシーンなのに、この字幕はそれを台無しにしているのである。

    このあと、二人は普通はセックスする。(普通はしない?俺ならするが)
    しかしマギーは「電車が無くなるから」と、迷いを見せながらも、帰る。
    美しいシーンではないか。どこかにも書いたが、人間、40歳を過ぎたら異性を求める理由はセックスだけではないのである。ここでセックスしなくても、この人とは繋がっている、とマギーは確信したから帰ったのだ。ここの二人の会話が理解できていないと、このシーンも理解できないし、この映画全体の意味も、分からない。


    私は学会に提出する論文の資料集めの為、ヨーロッパ各地のセックス・ショップを視察した事がある。パリとかロンドンとかアムステルダム、コペンハーゲン、ハンブルクなどなど、都市には必ずセックス・ショップがあり、経営者はまず100%外国人である。働いている女の子もまず地元出身の子はいない。多いのは東欧人やロシア人だ。たくさん視察して感じたのは、一番美しい女性が多いのはウクライナ人である。もちろん金髪で長身。ウクライナ語、ロシア語、英語、ドイツ語をたいてい話す。なぜドイツ語ができるかと聞くとドイツで働いていたからだと言う。ドイツにはそういう職場がたくさんあるらしい。

    要するに、みんな食えないのである。話せば普通の子だ。私の娘と歳も違わない。偉いじゃないか、ひとりで生きていて。「シャンパンを一本頼んでくれれば私をお持ち帰りできる」と言われてこの子に稼がせてあげようかとよっぽど思ったが、視察なのでできなかった。シャンパンが350ユーロもしたからではない。

    職業に貴賤は無い。人間の出自に区別は無い。あなたは偏見の無い眼で人間を見られるか?それがこの映画の訴えていることだと思う。

    この映画の主役に彼女を選んだというのも深慮遠望だなぁ、と私は思う。あのセクシーダイナマイトが、「それが必要ならこんなことまでするという映画」に出る、というのは人生の真実を突きつけられたようで、最初は話題狙いかと思ったが、立派な選択だったと思う。

    ※ルイーザと友情が壊れてしまう話は何を意味しているか、と言うとこれは資本主義の批判なんだと思う。競争には必ず敗者が出る。(だから私は友達とビジネスはしない事にしている) その事も書こうかと思ったが長過ぎるのでやめます。


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